小売の拡大で仕入れ力強化
前回、当社のガス事業は一般家庭向けの小売とほぼ同じ規模で卸売も行っていることを紹介しましたが、実は創業当時は卸売専門でした。ガスの小売は人材と資金力が必要なため、簡単には乗り出せません。それでも当社が小売に乗り出したのは、取引量を増やすことで仕入れ力を強化するのが目的でした。
まとまった量を一度に販売できる卸売と違い、小売は一軒一軒のお客様をきめ細かくフォローしなくてはならないため、スタッフの拡充が必要です。しかも小売ではお客様の設備費用を肩代わりすることも求められます。本来、ガス会社が設備費用を負担するのはお客様の家のガスメーターまでなのですが、他のガス会社との競争のため、メーターの先の器具までガス会社が負担するケースが少なくありません。当社の場合は器具の貸し付けという形を取っているのですが、それでも負担にはそれなりの資金力が必要になります。
しかしガス業界では小売業者同士の協業が進み、大型化する流れが進んでいました。調達の大規模化で仕入れ力を強化し、経営基盤を安定化させるためです。ならば当社も、卸売だけでなく小売も自ら行って仕入れ力を強化して対抗しなくてはなりません。そこで人材や設備への積極的な投資や、卸売先の買収などで小売を拡大させてきたのです。
小売開始時は「売上高の3割」を小売であげることを目標にしていましたが、現在ではおかげさまで約1万2000世帯のお客様にご愛顧いただき、売り上げの約半分を小売が占めるまでに拡大しました。そのおかげで仕入れ力も強化され、安定した経営基盤を築くことができています。
つまり約1万2000世帯のお客様のおかげで、新エネルギーを含めた業界の厳しい競争の中でも当社の経営は成り立っているわけです。改めてお客様に感謝しなくてはなりません。
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