FITの本来の目的をはき違えた結果
2018/5/22
日々思うこと
再生可能エネルギーの「2019年問題」が起きるのは、固定価格買取に10年という期限があることが理由なのですが、それは最初から分かりきっていたことです。それにも関わらず今になって騒ぎに発展しつつあるのは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の目的を、ユーザーと業界の双方がはき違えていたことが原因ではないかと思います。
FITは太陽光など再生可能エネルギーの利用を拡大することで、石油など化石燃料への依存度を下げ、脱炭素化を進めることが本来の目的だったはずです。しかし現場では再生可能エネルギー、特に太陽光発電が、FITにより一種の投資商品のように扱われたのが実情です。本来の目的である脱炭素化への貢献は、10年を過ぎても変わらないにも関わらず、“利回り”を下げるような買取価格の変更に右往左往しているわけです。
もちろん何らかのインセンティブがなければ、太陽光発電の普及が進みにくいのは事実です。しかしインセンティブばかりに目が向くと、何のための太陽光発電普及なのか分からなくなります。2019年から順次始まるFIT切れ以降は、本来の目的、すなわち化石燃料への依存度を下げることを目指す活用が求められます。
そのためには、やはり自家消費の活用増進が必要です。今まで売電していた太陽光発電からの余剰電力を蓄電池などに貯めて、太陽光で発電できない時間に活用することで、電力会社からの電力購入を減らせます。電力購入を減らせば、電力会社が発電で使用する化石燃料を減らせるわけです。
幸か不幸か、FITの終了で自家消費の活用増進が経済的にも合理的になります。投資商品という誤った認識から脱却するチャンスとも言えるでしょう。
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