太陽光発電の変換効率向上で10kWの境界線が無意味に
太陽光発電システムは導入から10年ほど経つと、パワーコンディショナーが寿命を迎えることが予想されるなど、部分的な入れ替えが必要になってきます。太陽光を受けるパネル自体の入れ替えを検討されるお客様もいらっしゃるかもしれません。パネルは低価格化と同時に、太陽の光を電力に変える変換効率の向上も進んでいるためです。
住宅用に多い結晶系パネルは、以前はこれ以上の変換効率向上は期待できないと言われていましたが、それでも伸び続けており、現在は20%近くまで到達しています。他にも化合物系など有力な技術はあり、研究レベルでは30%を超えているものもあるそうです。同じ面積でもより多くの電力を作り出せるようになることを考えると、パネルの買い換えの意義は十分あると言えます。
多くの電力を作るようになった場合、気になるのが住宅用の太陽光発電の上限である「10kW」という数値です。太陽光発電は10kWを境に、住宅用と産業用に分けられています。10kWを超えるともはや「発電所」という位置付けになり、産業用として扱われます。産業用になると発電した電力はすべて電力会社による買い取りになり、自家消費にまわすことはできません。一見その方がお得なように見えますが、買い取り価格は低下する一方で電気料金は長期的に上がり続けることが予想されます。売電するよりもそのまま自家消費にまわす方が得なのに全部買い取られてしまうため、「電気を安く売って、高く買う」というおかしな状態にもなりかねません。
実際、当社の実証モデル住宅「愛エネハウス」では18.9kWのパネルを取り付けており、住宅の屋根でも10kWを超えることは既に現実的になっています。しかし10kWという境界線があると、その制限のために大きなパネルを付けられないということも起こり得ます。変換効率という技術の進歩に合わせて、この境界線も見直すべきが来ていると思います。
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