法的な規制の厳しいLPガス事業
昨年始まった電力の完全自由化に続き、今年4月からは都市ガスの自由化も始まります。地域単位で決まっていた都市ガス各社の営業エリアの垣根が取り払われ、例えば関東の東京ガスが九州で都市ガス事業が可能になるなど、電力同様に地域を越えた営業活動が繰り広げられることが予想されます。
当社のような地域のLPガス会社には直接的な影響はないものの、他地域の都市ガスから攻勢を受けた都市ガス会社が、打開のために地域のLPガス事業を拡大させるという形での間接的な影響はあるかもしれません。しかしその影響は限定的と考えております。実は都市ガスよりも地域のLPガスの方が、事業に課される規制が厳しいからです。
例えば都市ガスで一般的になったマイコン搭載の高機能ガスメーターは、もともとLPガス会社の方で先に導入されていたものです。超大手企業の都市ガス会社と違い、LPガス会社は地域に根ざした中小の事業者がほとんどです。放置すると保安点検がおろそかにされるという懸念があるからなのか、LPガス事業は保安点検などの面で規制が厳しく、それに対応するため導入されたのが高機能メーターでした。メーターだけでなくボンベなどにも、客観的に見るとこれほど厳しいものが必要なのかと思えるような規制もあり、容易に新規参入はできないような業界になっています。
以前ある大手不動産会社が、自社の賃貸アパートで独自にLPガス事業を始めたことがありました。ガスをバルクで調達し、それを各部屋に配分することでガス料金の節約を狙ったものです。しかしブレーカーをオンにするだけで使い始められる電気と違い、ガスは使用開始時に点検や注意事項説明、開栓作業などさまざまな業務が、規制により課されています。通常の時期ならともかくアパートの入退去がピークになる3〜4月は、不動産会社は賃貸業務だけで手がいっぱいです。ガスの開栓作業にまで手が回らないため、入居者自身に開栓を行わせてしまいました。その会社は行政指導を受けることになり、今ではLPガス事業は行っていないようです。
3〜4月は当社でも人手が厳しいほど開栓作業が集中しますが、それでもスケジュールのやり繰りやノウハウの共有などでピーク需要に対応しています。それほどの体制がなければ行えないのがLPガス事業であり、そこにLPガス会社としての存在価値があるのだと思います。
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