電力販売自由化、九州なりの事情
2016/12/29
日々思うこと
「電力会社を変えるのは容易」と前回のブログで書きましたが、実際のところ特に九州では、当面は大きな動きにはなりにくいと考えています。もともと九州電力の電力料金は全国的に見て相対的に安いうえに、新興の電力会社が送電の手数料として九電に支払う託送料金が意外に高く設定されたからです。
電力を販売する会社は、発電会社から電力を仕入れ、九電に託送料金を支払って、家庭など需要家に電力を届けて利益を上げます。しかし九電のもともとの電力料金が安いために電力の販売価格の上値は重く、かつ託送料金が高いために、新興の電力会社が得られる利幅はかなり薄いものです。おそらく1kWhあたり1円程度にしかならないでしょう。全国規模で電力販売に参入する企業も九州については及び腰だったり、先日ニュースになった新興の電力会社の経営危機も、そうした事情が背景にあるように思います。
当社もエネルギーを地域に総合的に提供する企業として、当初は4月の電力販売自由化とともに電力販売に名乗り出るつもりでしたが、このような事情のもとでは早期の参入は困難と考え、当面は取次店として活動します。本格的に電力販売に乗り出すのは、発送電分離が行われる2020年以降と考えております。
送電会社が九電から分離され、新興の電力会社と同様に九電も送電会社に託送料金を支払う仕組みになると、九電が設定している「深夜電力」のような格安のメニューはなくなるでしょう。今の深夜電力料金は、発電コストと託送料金を考えると実は原価割れではないかとまで思えるからです。深夜電力のような現在の九電の事業構造でなくてはできないものがなくなった時、初めて九電と新興の電力会社は真に対等的な立場になり、電力料金の競争が始まると思います。
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